根強く残る大厄の観念
「厄」とは、人間の生命や暮らしの健全性を損なう災難のことです。そして特定の年齢を災難のある年として忌み慎む民族信仰を「厄年」といいます。これは陰陽道の説に始まり、中国から伝来して、公家や武家の社会で行われていた信仰がいろいろな形を経て今日に至っています。この年齢に達したものが神事に参与する資格を得る地方も多くあり、身を清めて神を祀る年齢にあたり、厄年でなく「役年」にあたる年という説もあります。厄年は満年齢でなく数え年で計算し、男性は25歳・42歳、女性は19歳・33歳が一般的ですが、とくに男性の42歳は「死に」に通じる語呂合わせから大厄とされ、女性は33歳が重要な厄年で大厄とみなされました。また厄年の年齢を「本厄」、その前年を「前厄」、翌年を「後厄」として、この3年間はとくに気を付けます。厄年には、厄除けや厄払いの儀式が広く伝えられています。厄払いは、その年の始めや節分の日のほか、誕生日に行います。地方によっては神社にお参りのときに付けてきたくし・手ぬぐいなどの持ち物ややお金を落とし、厄も一緒に捨てたり、節分の日に豆や餅をまいて厄を拾ってもらったりといろいろな習慣があります。本厄の正月や誕生日に、親戚や友人を招いてご馳走を振る舞い〈厄落としの宴〉、出席者一人ひとりに少しずつ厄を持ち帰ってもらったり、鍋・やかん〈厄に蓋をする〉、はさみ・包丁〈厄を切る〉などを贈って厄を軽くするなど、一人では祓いきれない厄を、多くの人の力を借りて少しずつ清めていくという考えもあります。男性の42歳前後は働き盛りで、社会的地位と責任が増し、精神的・肉体的に重要なときです。また、女性の33歳は出産・子育てと生活の変化に加え、一家を切り盛りする主婦として大変なときです。厄年に災難にあうというのは迷信かもしれませんが、社会的にも生理的にもひとつの転機と受け入れ、日々の生活パターンや健康のことを考え、人生の大切な節目ととらえることも大切です。現代は、近隣の氏神・神社仏閣などに厄払いに行くのが一般的になっています。厄除けのお守りとしては、長いものや、うろこ模様のものが知られていますが、これは龍神の魔力にあやかるということで、長いものは龍の胴体、うろこは龍のうろこを表しています。そこで厄除けの品として、うろこ柄の伊達締め・腰紐・長襦袢などが贈られました。現在ではうろこ型の型押し財布、長いものでベルトやネックレスなどを贈るようです。
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