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贈るこころ 〜 贈り物の知識とマナー

贈るこころの留意点・マナー

何を贈ったらいいのか迷ってしまったら?

贈り物の基本は「もらった人に喜んでいただける物を贈る」ことです。

相手の方が欲しいと思っているもの、自分の欲しいと思うもの、自分で買うには少し贅沢なもの、重なっても重宝なもの、相手の方が関心あるもの(趣味に関係するものなど)、おいしいもの・・・・。そういったものを贈るようにしましょう。

親しい仲の相手なら、何が欲しいか聞いてもよいでしょう。

逆に贈っていけないものは、縁起の悪いもの、あまりにも肌に近いもの、相手を軽視したもの、高価すぎて必要以上に気を使わせてしまうもの、身分不相応なものなどです。

“物を贈る”とは“こころを贈る”こと。
相手を祝福したり、慰めたり、贈る側の誠意が感じられる品物を贈りたいものですね。
お返しの場合も同様です。

お祝いを手渡する際に、ふろしきやふくさはどう使うの?

先方の自宅に持参するときは、金封を祝儀盆(切手盆)にのせてふくさをかけ、さらに風呂敷などで包んで持参します。

差しあげる時には、包みをほどいてからふくさをかけた祝儀盆ごと差しだします。

受け取る側は金封をいただき、「おため」または「おうつり」を祝儀盆にのせ、家紋付きの絵柄ふくさは柄のほうを表にして、お礼の挨拶とともにお返しします。

式場などへ金封を持参する場合も、堤ふくさまたは台つきふくさで包んで持参します。

渡すときにはふくさから出し、先方に金封が正面になるように右回しにして差し出し、金封のみ受け取っていただきます。台付きふくさのときは、たたんだふくさを台代わりにのせて差しだします。

豆知識

「おうつり」とは、お祝いなどを届けてくださった方への心づけといったもので、「お祝いをうつす(移す)」ことからきたようです。

具体的には神からのお祝いの移り紙(移り神)を意味することから、「懐紙」や「半紙」が用いられることが多いようです。

また、「おため(お多芽)」とは、御利益や神仏の霊験をいい表していて、京阪、北陸地方では結婚のお祝いのときに使われることが多いようです。具体的には“お祝い金の一割”を包むことなどをいいます。

祝儀・不祝儀袋のマナー

祝儀袋へのお礼の入れ方は?

祝儀袋や不祝儀袋には、中袋にお金を入れてから包みます。

市販されている袋であれば、一般的に中袋がついています。ついていない場合は、半紙や奉書紙などを使って、お金を包むようにしましょう。

お札の包み方はご祝儀と不祝儀の場合は逆になります。ご祝儀は慶びを表すように、お札に印刷された人物の顔が上向きに表になり、不祝儀はうつむいて裏になるように包みます。これは「表玄関から堂々と弔問に伺う」のではなく「裏木戸をそっと開けて伺う」慎み深い日本人のこころを表します。

また、心付けなどに用いる小型の袋(ポチ袋)に慶事のとき入れる場合には、新札の印刷された顔の重ねが右上になるように、左から右上になるように、左から三つ折りして入れるようにします。いたしかたなく使われたお礼ですでに折り目がある場合には、四つ折りでもいいでしょう。

祝儀袋や不祝儀袋には、新札と古札のどちらを入れるのがよい?

慶事のときには、祝儀袋に事前に用意した新札(まだ使われてないお札)を包んで、お祝いのこころをあらわしましょう。

一方、通夜や葬儀などのときには、新札をそのまま使うのは好ましくありません。通夜や葬儀は突然のことで、事前に準備するものではないからです。
そうかといって、使い古してくたびれたお札を使うのも考えものなので、多少きれいなお札を使います。新札を使う場合には、半分に折り目をつけて、古札に見せる気遣いを心がけましょう。

ご祝儀などを包むときに奇数がよいとされるのはなぜ?

昔からの行事や祝いごとに関する数字には、奇数がよく使われています。七五三の祝い、三三九度、一月一日(正月)、三月三日(桃の節句)、五月五日(端午の節句)など、いずれも奇数にちなんだものです。こうしたことから、慶事のご祝儀にも、奇数の金額を包むのが一般的です。

ただし、慶事でも、現金では二万円の場合も多く、八万円も末広がりでよいとされ、贈られることもあります。しかし、四は死につながるので使わず、六も思案六法(憂慮の意味)で使われません。
たとえば、一万円では少ない、三万円では多い気がする場合に、二万円を贈るときには、一万円札を一枚と五千円札を二枚包んで贈るというように、お札の枚数が偶数にならないように配慮することもよいでしょう。

お金の包み方で右開きと左開きの違いは?

市販の祝儀袋、不祝儀袋は現在ほとんどの袋が右開きになっています。古いしきたりでは、お金は奉書紙または半紙で包んでいましたが、そのたたみ方は慶事と弔事では逆とされ、慶事は右開き(右手で開けやすく、重ねは右側が上)にたたみ、弔事は逆に左開き(左手で開けやすく、重ねは左が上)にたたみました。

また、祝儀袋、不祝儀袋を持参するときに使うふくさの重ねも慶弔は逆になります。

祝儀・不祝儀袋の裏折りは、上下どちらが正式?

祝儀袋と不祝儀袋は、上包みの上下の端を裏へ折り曲げます。
その裏折の上下については、一般に「慶事は上向き」「弔事は下向き」といわれ、慶事は下側を上にかぶせ、弔事は上側を下にかぶせます。
これは、慶事は「喜びごとが天を向くように」、弔事は「悲しみにうつむく」という意味から生まれた作法です。

お見舞いも「上向くように」ということから、祝儀袋と同様にします。

のし紙、かけ紙とは?

のし紙とかけ紙はどう違う?

“のし紙”とは“奉書紙”に“のし”と“水引”とを印刷したもの、すなわち、“のし”のある“かけ紙”をのし紙と呼んでおり、特別のことや高額品などを贈るとき以外は、この“のし紙”をかけて贈るのが一般的です。

ただし、“のし”は慶事に使われるので、弔事などの際は“のし”がなく、“水引”だけを印刷したものが使われます。これを“かけ紙”といいます。つまり、“のし”があるものが“のし紙”で、ないものが“かけ紙”というわけです

同じ目的で、複数の品物を贈るときには、一つずつ“のし紙”をつけるの?

いくつかの品物を同じ目的で贈るときには、主な品物一つだけに“のし紙”と“表書き”をして包装し、あとの品物については包装だけでかまいません。現金や商品券などに品物を添える場合も同様です。

たとえば、結婚のお祝いに、祝儀袋を祝いの品を贈る場合には、祝儀袋に“寿”と“姓名”を書き、祝いの品は包装のみにします。

のし紙をかけて、その上からリボンをかけてもよい?

より丁寧に贈り物をする気持ちを表現したいと、“のし紙”の上にリボンをかけようとする方がいます。
“のし”や“のし紙”をつけるということは、それだけで「より丁重に物を贈る」気持ちをあらわしています。

ですから、それ以上のことは必要ありません。“のし紙”にはきちんと名入れまでしてあるのですから、包装だけで十分です。リボンとのし紙は同格で、和洋折衷となりますので併用はしません。

“のし紙”に名刺を貼るのは失礼?

毛筆で書くのが正式マナーです。できる限り毛筆にしましょう。もしも、突然の贈り物など、やむを得ず名刺を貼って代用するときには、“のし紙”の左下に貼りましょう。
ただし、あくまでも略式ですから、格式の高い袋や高価な物に名刺を貼るのは、やめたほうがよいでしょう

短冊とは?

短冊とは

短冊(たんざく)とは、短冊の形をした“のし紙”の略式タイプです。
お中元、お歳暮、お年賀、内祝いなどの略式でもかまわない場合に用いります。

一つの品物に「御礼」と「御祝」の短冊を一緒につけてもよい?

出産、お宮参り、七五三、入園・入学、卒園・卒業、就職、成人式、長寿の祝いなどの慶事には、“のし紙”の表書きに「御祝」と書いたり、短冊をつけるのが一般的です。

また、お世話になった方などに、お礼の気持ちとして贈り物をする場合には、「御礼」とのし紙に書いたり、短冊をつけたりします。こうして本来別々の意味があるものを、一度で済ませてしまおうという考え方はおすすめできませんし、一つの品物に二つの“のし紙”や“短冊”をつけるものではありません。
それでも、どうしても一品にしたい場合は、どちらかに短冊や“のし紙”をつけて、もう一つの気持ちについては、メッセージなどで伝えるとよいでしょう。

たとえば、結婚祝いと出産祝いを兼ねた贈り物をする場合には、結婚祝いを優先してのし紙をつけ、出産のお祝いについてはメッセージカードに記するようにします。

名入れとは?祝儀袋やかけ紙への名入れについて

贈り主が一人の場合、「姓」と「名」の両方を書いた方がいいの?

一般には、「姓」と「名」の両方を書くのが基本です。
ただし、「姓」だけでも贈り主がわかるときや、個人名よりも家の名が適当な場合には「姓」だけをかくこともあります。

結婚の「内祝」で、男性と女性の名入れは左右どちらが正しい?

一般に男女の名前を書くときには、男性が右側、女性が左側というのが基本です。
夫婦の場合も同様です。

会社名や肩書を書きたいときは?

文字の大きさは、次の順にしたがい小さくしていきます。
@表書き
A氏名
B会社名
C役職名

大勢が連名で贈り物をしたいときは?

  1. 贈り主が3〜5名の場合

    表に書くことができます。目上の人の名前を右から左へ順に書き入れます。
    右から書くときの基準は、年長順、役職順、五十音順などさまざまです。自分たちに合った順番を考えましょう。

    執筆者や幹事の名を最後にすることもあります。

  2. 贈り主が6名以上の場合

    表には書ききれないので、外袋やかけ紙の表に「代表者の姓名」、左側に小さく「他(外)一同」と書きます。他の人の姓名を書いた紙を中包みや箱の中に入れましょう。

    表に代表者一人だけを書くのが適当でない場合には、表には「○○株式会社営業部一同」というようにして社名や役職名、団体名などを書き、個人名は別紙に書いて中包みや箱の中に入れるとよいでしょう。

結婚して七ヶ月経った方へ品物を贈る場合、のし紙の書き方はどうしたらいい?

紅白夫婦結びで、表書きは「御祝」にします。

また、もしも年上の方に差し上げるなら、「御慶」、年下の方に差し上げるなら、「御歓」としてもいいでしょう。

結婚の内祝いの名入れでお嫁さんの名前だけを入れることはあるの?

基本的に、のし紙に旧姓を書くことはありません。結婚祝いのお返しは。「内祝」ですから、新郎と新婦の名前を入れるのが原則です。どうしても旧姓を書きたいときは、のし紙ではなく、配送伝票の依頼人のところに旧姓を入れるとよいでしょう。

また、結婚の「内祝」の名入れは、基本的には右に新郎のフルネーム、左に新婦の名前を入れますが、贈る相手との関係によっては、新婦の名前だけを入れることもあります。

親の友人から結婚祝いをいただいて親からお返しをする場合、名入れはどうしたらいい?

贈る相手が、娘さんのことを知っている方なら、名披露目として、新郎のフルネームと娘さんの名前を入れるとよいでしょう。
配送伝票の依頼人は親の住所と名前にするとよいでしょう。

相手が娘さんを知らない場合には、親の姓を名入れして、親の住所と名前で贈るとよいでしょう。

のしとは? 内のし/外のしとは?

のしはどんな時に使うもの?

祝儀袋やのし紙などの右上にある飾りが“のし”です。

そのルーツは「のしあわび」にあります。※“のし”のいわれ

現在では、“のし”は紙で略式になっていますが、その中央に織り込まれた黄色い紙が、かつての「のしあわび」のなごりで、そのまわりを紙で飾り折りして、上を広く、下を狭く、六角形に折りたたんであります。

“のし”は「より丁重に物を贈る気持ち」を込めて、慶事にのみ使われます。弔事の場合は「生臭物を忌み嫌う」ということから使いません。

また、魚介類、果物、卵、生鮮食品などを贈るときにも使われません。さらに病気見舞い、災害見舞いも「引きのばす」との意味から“のし”はつけません。こうした場合には代わりに白無地の短冊を使います。

“のし”のいわれ

“のし”は「のし鮑」の略で、その名のとおり「あわびを薄く長くはぎ、引き伸ばして乾かしたもの」です。古来あわびは、貴重な食料で、神事のお供え物として用いられました。

また乾燥したあわびは栄養価が高く、長持ちすることから「保存食」として、不老長寿のしるしとして重宝がられ、慶事などの贈答品に用いられたようです。

“のしたあわび”を和紙に包んだものを「のし」と呼ぶようになり、贈答品に添える習慣ができたといわれております。

内のし、外のし、正式なのはどちら?

のし紙のかけ方には、贈り物を包装紙で包んだ上から、のし紙をかける「外のし」と、贈り物の箱に直接のし紙をかけ、その上から包装紙をかける「内のし」の二種類があります。
贈り物であることを強調したり、贈り主がひと目でわかるようにしたいときには、「外のし」にします。
贈り物を控えめに贈りたいときなどは「内のし」にします。どちらか一方が正式ということではありません。

配送業者などを通じて届ける場合には、「配送伝票」を貼付けるので「内のし」にすることが、ほとんどのようです。

また結婚や結納に関する場合や、直接先方に持参して手渡しをされる場合には、「外のし」にすることが一般的です。

水引とは?

水引とは何? 水引の役目とは?

水引はしっかり結びとめるのが目的でしたから、初めは白一色で結び、両端を切った“真結びの結び切り”だけでした。それが、やがて結婚や病気見舞いのように、二度繰り返してほしくないときには“結び切り”何度繰り返しても良い慶事のときには“花結び(蝶結び)”というように、贈る目的に応じて結び方が変化しました。

また、水引は封緘の役割ももっていて、贈り手の真心が込められていることや先方に届くまで決してほどかないことを示す証だともいわれます。

水引のルーツはひも

昔は贈り物を奉書紙で包み、それをひもでしっかりと結び止めていました。

そのひもは和紙を細かく切って、よってこよりを作り、水のように薄い糊を引いて乾かし、固めたものでした。それが水引のルーツです。

水引の色・本数

最初は一色だった水引ですが、そのうちに染めたものが使われるようになり、紅白、金銀、白黒、黄白、青白などの染め分けが登場しました。また、双金、双銀の一色のものも使われるようになりました。

現在では、一般の慶事には紅白の水引を用い、結婚祝いのような華やかさをあらわしたり、高価なものを贈るときなどは金銀の水引を使います。これに対して、弔事では黒白や黄白の水引を使うのが一般的です。

水引の本数は、三本、五本、七本と奇数のこよりを束にして使うことが多いようです。その中でも、最近はとくに五本一組で使うことが多くなっています。なお、こよりの本数が多いほど、長さが長いほど、格が上だとされています。

水引の結び方は?目的別の結び分けは?

現在の水引の結び方は、「花結び」「結び切り」「鮑結び」の三種類が変化したものです。

基本的な結び方は、裏側のちょうど中央に紅白、金銀などの境目がくるようにし、表側は向かって左側に白がくるようにして結びます。古来より、左の位置が貴いとされていたことから、基本の色“白”を左側に置いて結んだようです。銀色の場合も同じように左側にくるようにします。

表書きとは?

贈り物をするときの“表書”の書き方は?

贈り物をするときには、“かけ紙”をします。表書きにはさまざまなものがあるので、贈る相手や目的、自分の気持ちに合わせて選ぶようにしましょう。大切なのは、贈り手の誠意と真心が伝わるような言葉を選ぶことです。

のし紙や祝儀袋に書く文字や字体は?

のし紙や祝儀袋は毛筆で書きましょう。あまり崩しすぎずに、楷書か行書ぐらいがよく、字体は新自体で読みやすく書きます。ただし、儀礼を重んじ、丁寧にしたい場合には、「壽」などのように旧字体を使う場合もあります。また、文字のバランスは、名前が“表書き”の文字よりも、やや小さくなるように書きましょう。文字が“のし”や水引にかからないように注意します。

表書きに四文字はいけない?

表書きの文字を四文字にすると、「死文字」を連想させるので縁起が悪いとされています。

四文字を避けたいときには、「祝 御結婚」「祝 御出産」というように「祝」と次の文字の間をあけるようにしましょう。この際、「祝」の字は少し大きめに書くとよいでしょう。

大切な挨拶のとき、“表書き”は「粗品」と書いても失礼でない?

「粗品」とは、人に贈る品物の謙譲の表現。「粗末なものですが」という意味で、へりくだった気持ちを表しています。

大切なあいさつのときの“表書き”には「粗品」よりも「御挨拶」「松の葉」などがふさわしいでしょう。「粗葉」「こころばかり」「御伺い」なども、ちょっとした贈り物の場合に使われます。

また、ちょっとしたおわびの気持ちを込めて贈る場合には、「粗品」とする方がよいでしょう。

「寿」「上」「内祝」はどう使い分ける?

  • 「寿」 ことぶき

    いく久しくめでたさを祈る」という気持ちで、結婚、長寿などの慶事全般に使います。「寿」はお祝いごと、めでたいことに際し、喜びをあらわすときに言葉で祝うことです。新年を寿ぐ(ことほぐ)、長寿祝いでは「寿福」「敬寿」「賀寿」もよく使われます。

  • 「上」 うえ、うえさま、おかみ

    目上の人、神仏、先祖に対するときに使います。神事の際の献上や神官へのお礼、仏閣へのお礼やお供え、先祖へのお供え、目上の人へのお礼など。

  • 「内祝」 おかげさまで、どうぞよろしく

    結婚祝いのお返し、結婚記念日のお返し、出産祝いのお返し、長寿祝いのお返し、新築祝いのお返しなど、そのほか様々なお祝いごとが済んだ後のお返しに使います。

    「内祝い」とは、自分や自分たちで祝う自祝いのことです。お祝いごとを祝った後に、「おかげさまで」「どうぞよろしく」という気持ちを込めて贈ります。お祝いのお返しだけではなく、慶びごとのおすそわけとして「内祝」を贈ることもあります。