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春の浅蜊がおいしいわけ

潮の満ち引きは月の引力と関係し、満ち引きの差が大きいときを大潮、小さいときを小潮、その中間を中潮といいます。潮干狩りは、大潮の干潮時に行うのがよく、、1年を通じて一番引きが強い3月から5月の大潮がより適していて、おいしい時期となります。浅蜊は酒蒸しやおすましにしても、江戸を代表する食材「佃煮」でもおいしくいただけます。佃煮は江戸時代に埋められた東京湾の人造の島、佃島で考案されました。徳川家康が摂州で出水にあったとき、田蓑村の名主見一孫衛門が漁船を手配し、家康の渡川の便宜をはかりました。それをきっかけに家康は見一に森姓を与え、三国島(佃島)の埋め立てと居住、全国での漁業権を認めました。佃島の漁師たちは幕府のおかかえ漁夫として、白魚・針魚・あみ・せいご・芝海老・蜆・蛤などを献上する一方、市場で販売しました。獲れ過ぎて残ったものを醤油で煮て、保存用の食材としたものが佃煮ですが、それまでにないおいしさから評判になり、江戸の町中でもつくる人が増えました。佃島づくりの背景に欠かせないのが醤油ですが、関東で醤油業が盛んになるのは江戸中期で、それまで主流だった「溜まり醤油」「薄口醤油」とは違い、「濃い口醤油」であることが特徴です。この醤油の登場によって、佃煮や鰻の蒲焼といった江戸の味が確立しました。

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