お歳暮という言葉は、年の暮れや年末を表します。
もともと古く日本では、新年に先祖の霊を迎えるため、お供物を本家や親元に持っていく「歳暮の礼」という行事が行われていましたが、
これがお歳暮の起源とされています。お供物としては、塩鮭やもちなどの食料品を贈っていたようです。
のちに、日ごろお世話になっている方へ贈り物を持参して回る「歳暮まわり」と呼ばれる風習と化し、それが転じて、現代では歳末に1年間お世話になった方へ感謝の気持ちを込めて贈る贈答品そのものを「お歳暮」というようになりました。
昔は、お世話になった方へに贈るのが中心でしたが、近年では、親愛の気持ちを込めて友人や親族への一年のお礼やご挨拶としても贈るようになりました。
「お歳暮」の習慣が一般的となったのは江戸時代だと言われています。江戸時代の商売は基本的に掛け売りであり、お盆と暮れの時期に半年分の請求をまとめて支払っていました。その支払いをする際に、日頃お世話になっている仕入先やお得意様などへのお礼と新年の挨拶を兼ねて贈り物を持参したそうです。
また、江戸時代には分家から本家へ、弟子から師匠へ、一年のご挨拶と鏡餅を贈る習慣もありました。
暮れに贈り物をする習慣と「歳暮の礼」の習慣が重なり、歳末の贈り物として現代に伝承されたのではないかと言われています。
お歳暮の由来は諸説ありますが、1年間を通じてお世話になった方へ対するお礼の気持ちや、新年へ向け良い関係を築いていきたいと願う気持ちを表す機会として、現代でも日本人にとって大切な習慣となっています。
お歳暮は、直接先方に伺い手渡しをするのが礼儀です。ただ、遠方に住んでいる方などへは送付となってしまいますが、その場合は、お歳暮と一緒にあいさつ状を同封したり、別でハガキを送るのがマナーです。親しい友人や親族などの場合は、電話で一報を入れておくのも必要なことです。最近は百貨店やインターネットサービスでも、お歳暮は豊富な種類で商品展開をされています。サイズの大きいものなどは、その旨事前に知らせておくと親切です。また、生鮮食品などの保存形態が限られるものも、相手の都合があるので品物を贈る前にお知らせをするのが配慮となります。お歳暮をもらった場合ですが、そもそもお歳暮は、日頃のお礼としての相手からの贈り物でありお祝いではありませんから、基本的にお返しはしなくても失礼になりません。